・超ざっくりあらすじ
理詰めで料理を紐解いていく話
・アオアシ
『アオアシ』の作者である小林有吾氏が描く料理漫画。『アオアシ』はひたすら言語化し理詰めで成長していく物語であるのだけれど、この作品も全く同じ方向性である。数学の神童と呼ばれた主人公だが挫折してしまい、今度は数学で培った論理的思考と理屈屋なのを活かして料理の道を切り開いていこうとする話。てかこの作者は主人公を転向させるのが好きなのかな?『アオアシ』もFWからDFだし。
・言語化
『アオアシ』で行われたサッカーについての大量の言語化は身体や天性の物も入る余地があった。しかし料理に関しては「化学」に例えられたりするくらいで、サッカー以上に理屈寄りでそれ故さらなる理論武装を出来る分野なはずで、なおさら詳細に説得力を持ちそこが強みとなるはずな作品になるだろうと思っていたのだが...
・物語としての面白さ
一皿に賭ける想い等でアツくなる展開はちょこちょこありはするが、理屈と物語展開のバランスがアオアシほど上手く行ってないように思う。せっかく完全な理詰めでいけるのに、主人公の成長が早すぎて理詰めによって出せる現実味を最大限に引き出せていないように思えた。この作者の一番優れてる所が言語化による現実感と物語の調和だと思ってるからこれをうまく出来てない今作はちょっと格落ち感ある気がした。
・作中の料理
序盤は庶民的な料理を美味しくする為の理屈が述べられて大変勉強になったのだけれど、あっという間に庶民じゃ手を付けられない、高級で手の込んだものばかり扱うようになってしまったのが残念だった。上でも述べたけど、展開をもっとゆっくりにするか、大衆に向けた料理漫画にすればもっと読者が感情移入出来る成長譚として楽しめて良かったのではないかなと思った(ナポリタンとかお茶漬けから始まったので親しみを持っていたのに急に高級フレンチの話になったので突き放されたように感じてしまった。)
・まとめ
『アオアシ』という完成度が化け物な作品を先に読んでしまいそれと比べてしまうのでなんだか微妙だなと感じてしまったが、まあそれなりに面白い!
70/100点
こんな人にお勧め
・料理を始めたてでいろはがあまりわかっていない人
↑基礎知識として理屈で学んでおくのは土台としてしっかりするし応用が利く為
長所というかお勧めできる対象がこの位しかいない気がするから、やはりもう少し一般人が共感できるような内容にしたら跳ねてた気もしなくはないなと思ってしまう。